コラム

  • 2019/10/23

    植木。庭木に向いている樹木の種類

    庭木にはたくさんの種類があります。一度植えると何十年も生え続けるので、選ぶ際は慎重に選ばなければなりません。育てる環境に合わせた樹木を選ぶのがポイントです。今回は数多くある種類の中から一部を紹介します。サイズごとの特徴、性質などを見ていきましょう。

    ▼大きさ別種別

    ■高木樹

    樹高5~10m以上に育つ樹木は高木樹に分類します。風格をかもしだし、一本でも様になるのでシンボルツリーとして景観が引きしまります。庭の中央や玄関先や門付近で目隠しとしてもよく植えられます。

    <代表例>

    ◎クロガネモチ

    植えていると「苦労がなく金持ち」になれるともいわれる縁起物のクロガネモチ。10~15mくらいの常緑広葉樹で庭木としては最大級の部類。雌の木は5~6月に薄紫色の花を咲かせ、秋には赤い実をつけます。若い枝や葉柄は鉄色(クロガネ)をしていることも名前の由来。

    ◎ツバキ(椿)

    ゆっくり生長し、長く生きる花木。通常は5~6m程度ですが、環境によっては15mを超えることもある品種です。多くの品種があり、その数は日本でも1000品種以上あり、海外でも多くの品種が生み出されています。主に冬~春に優美な花を咲かせることが特徴です。

    クロガネモチ
    クロガネモチ
    ツバキ
    ツバキ

    ■中木樹

    中木樹は、樹高3~10mくらいに育ちます。横並びに植えて生垣や目隠しとして使われることが多く、香りのよい花を咲かせる種類も豊富にあります。

    <代表例>

    ◎キンモクセイ(金木犀)

    やせた土壌では育たず、公害があるとめっぽう弱い品種です。日向を好み性質からは「陽樹」と呼ばれ、日当たりによっては花数も変わります。樹高は5~6mで、9月下旬~10月にはオレンジ色の小花が咲き、甘い香りを漂わせます。

    ◎カエデ(楓)

    「モミジ」とも呼ばれる落葉広葉樹。呼び名は葉の切れ込みで変わり、深いものをモミジ、浅いものをカエデとなります。樹高は1~30mまで幅広く、春は新緑、夏の緑葉から秋の紅葉と一年を通して見所がたくさんあるので式の移り変わりを楽しめるので人気の品種です。

    キンモクセイ
    キンモクセイ

    カエデ
    カエデ

    ■低木樹

    樹高3m以下の樹木は低木樹に分類されます。目線高くらいに仕立てると、手入れも自分で行うことが可能で、比較的お手軽です。

    <代表例>

    ◎ツツジ

    4月~5月ごろに色とりどりに咲く品種。サツキもツツジの一種です。寿命が長く、なかには800年以上生き続けるものも。性質は強健で剪定によって樹高を調節しやすいことが特徴です。

    ◎ナンテン(南天)

    2~3mくらいの常緑もしくは半常緑性広葉樹。耐寒性があり、枝はまっすぐに分岐せず伸びる性質があります。半日陰でもよく育ち、「難を転ずる」として縁起がよい植物とされており、正月の生花材料には欠かせません。

    ツツジ
    ツツジ
    ナンテン
    ナンテン

    ▼性質別の種類

    樹木はその性質にも違いがあります。植えるときにはしっかりと考慮しなければなりません。例えば、枝葉が横に広がるタイプを敷地際に植えると、塀を飛び越えて道路にはみ出してしまいます。また、落葉樹は落ち葉の掃除が必要になり、熟れた実や花びらが落ちてくる品種もあるので、場所やお手入れの頻度に合わせて選ぶことが重要です。

    ■針葉樹

    針葉樹の中でも、常緑樹と広葉樹の2タイプに分けられます。

    常緑針葉樹とは、針のような細い葉っぱが1年中つき、害虫の発生が少なく、活躍の幅もシンボルツリーから生垣まで幅広いです。種類によっては剪定が少し難しいところもあるので、大きな樹木などは専門業者の手を借りたほうが無難です。

    落葉針葉樹とは、葉は針のように細い形をしており、冬になると葉は落ちる樹木を指します。種類が他に比べ非常に少なく、針葉樹といえば常緑を指すことも多いです。そのため庭木として植えられる品種も多くは選べません。

    <代表例>

    ◎クロマツ(黒松)

    樹皮が灰黒色で30~40mにまで生長。潮風によく耐えることから防風林に利用されることも。濃い緑色の葉は2葉が束生しており長くて堅い。豪壮な外観からオトコマツ(オマツ)とも呼ばれます。

    ◎イチョウ(銀杏)

    恐竜が生きていた時代から存在するといわれる「生きた化石」。約20~30mになり、寿命は樹木のなかでも特に長く、樹齢1,000年以上になるものも少なくありません。かつては世界中に多くの品種があったといわれていますが、現在は1種類になっています。

    クロマツ
    クロマツ
    イチョウ
    イチョウ

    ■広葉樹

    広葉樹も針葉樹と同じく、常緑樹と落葉樹の2タイプに分けられます。

    常緑広葉樹は、1年中、平たい葉っぱをつける樹木です。多くは熱帯から温帯にかけて分布し、耐寒性、耐暑性に優れたものが多く、大きさや種類も豊富にあります。

    落葉広葉樹は、平たい葉っぱをつけ、秋から冬になると葉が枯死して落葉します。葉の造詣がキレイで人気がある一方、剪定が難しい種類もあり、値段も比較的高価です。

    <代表例>

    ◎アジサイ(紫陽花)

    日本原産のガクアジサイを原種とする品種の総称。5~7月に咲く花は梅雨の風物詩です。1~2m程度の低木で、剪定もほとんど必要もありません。半日陰の湿り気のある場所を好み、品種も年々増えてきているので毎年咲かせる花は楽しみです。

    ◎アオキ(青木)

    日陰に強いことで知られ、名前も1年中枝葉が青いことに由来します。樹高は2mほどで、病害虫に強く非常に育てやすい品種。雌の木は初冬には緑色の実をつけ始め、熟してくると赤い実になります。11~5月までの長期間彩ります。

    アジサイ
    アジサイ
    アオキ
    アオキ

    ▼まとめ

    庭木や植木は、景観で季節を楽しめるだけでなく、つくりだす日陰が室内の温度上昇を軽減し快適な環境づくりにも一役買う存在です。また、天然の成分や香りはリラックス効果もありますので、充実した生活にはあってはならない存在かもしれません。植木によっては支柱の設置が必要など、設置方法が変わるなど、馴染みのない方には難しい場合がありますので、その際は専門業者にご相談されることをおすすめします。